マンション床のガラスコーティング
10月半ば過ぎにメールでお問い合わせを下さいました。高崎市問屋町の新しいマンションにお住まいのS様。
32畳分ほどあるフローリング部分のワックス塗りを検討しています。ワックスが取れている部分もあります。家具類は全部移動しておくつもりです。ガラスコーティングにも興味があります。ガラスコーティングは,かすれてきたら補修はできますか?という内容でした。
マンション1邸丸ごとガラスコーティングは,当店としても今後押していきたい内容です。
その前に,当店はHPで「ガラスコーティング」というメニュー表示しておりますが,コート剤として使っているのは良質のシリコンです。透明な表面の輝きと耐久性をイメージして「ガラスコーティング」と呼んでいます。コーティングが仕上がると表面硬度は4Hです。
Sさんのお宅の場合,ワックスが取れている個所があるとのことで,通常の樹脂ワックスで仕上げるとしても,剥離洗浄が必要だと感じました。剥離洗浄+樹脂ワックス仕上げで料金は7万円以上になります。作業は通常1日で終わります。
ガラスコーティングの場合は,少なくとも2日家を開けていただく必要があります。1日目が剥離洗浄+乾燥,2日目にコーティング+乾燥後の養生剥がしです。費用はほぼ倍です。50平米ぐらいはお昼ごろ塗り終わるので,2日目のだいたい午後7時が仕上がりの時間になります。
Sさんから再度質問が届きました。だいぶお気持ちがコーティングに傾いている感触です。
コーティングのデメリットは何ですか?補修出来るそうですが,それは他の業者でもできますか?全体を塗り直すことはできますか?その際に剥離が必要で,多額の費用がかかりますか?何度もコーティングをすると床が傷むという可能性はありますか?など。
これからずっと住むつもりのマンションに,適切なメンテナンスをしながら美観を保ちたいという気持ちがこもっています。
樹脂ワックスとシリコンコーティングを比べた場合,費用が高い以外は,床材保護の観点からしてデメリットはありません。水に強いので何かこぼしても心配ありません。樹脂ワックスの場合,歩く部分がかすれたり部分的に剥がれたりする場合があり,光沢維持のために周期的なメンテナンスが求められます。コーティングの場合は5年あるいは10年ぐらいメンテナンスフリーです。
デメリットがあるとすれば,塗るときの失敗が許されないということです。下地の準備ができていない上に塗ってかすれたり,汚れはもちろんホコリやごみを抱き込んだら大変です。一応高純度のアルコールで剥離できることになっていますが,実際に剥がすとしたら刃物を使って削る必要があります。
補修についてですが,かすれた部分だけに塗る部分的な補修も可能です。速乾性で塗り境の出にくいコート剤を使います。同じシリコンをいくらか薄めたものです。塗って1時間で乾きます。
5年から10年をめどに,全体の塗り直しも可能です。洗剤をまき,ポリッシャーに研磨作用のあるパッドを装着して洗います。コーティングしてある床は,水がしみこまないので安心して洗えます。コート剤は水分を嫌うので,洗浄後は完全に乾燥させる要があります。その後,最初に塗ったのと同じコート剤を塗り直すことができます。この費用は,洗浄+樹脂ワックスに比べてコート剤の分だけ高くなります。(でも毎年樹脂ワックスを塗るのと比較した場合,家具移動の手間と積算費用を考えると安くなると思います)。
コート剤を塗り重ねていく場合ですが,30年で3回から5回程度重ねるのは問題ありません。毎年塗るなどしてコート剤が重なりすぎると,コート剤自体が厚くなり,衝撃などで剥がれる可能性があります。塗り直し回数はカウントする必要があります。
さて当店が廃業したり,どこかに移転したり,コーティングから撤退した場合,誰が面倒を見てくれるのでしょうか。僕は今のところ60を過ぎても続けようと思っているのですが,コーティングについては任せて安心の業者がいます。
当店がコート剤を仕入れている,前橋市の有限会社大弘商会は加工もしています。技術と責任感のある専務さんもいます。
こうした内容をご案内し,検討期間を経て,2日かけて剥離洗浄+コーティングのご注文をいただきました。Sさんはご主人とすべての家具を和室に移動しておいてくださり,私どもに鍵を預けて出勤されました。1日目の夜は外泊のお手配済み。お掃除が行き届いたお部屋でした。ワックスもうまく塗られていて剥がすのがもったいないほど。一部,玄関の部分でSさん自身で塗ってかすれた個所がありました。
実測48平米ほどになるでしょうか。明るい色調,表面が磨かれて平滑なフローリングです。デジカメを持参したのに電池を入れ忘れて,今回は撮影がメタメタです。ざんねんです。
これが最初に見た床の状態。キッチンです。引き渡しのときのワックスがきれいに残っています。
水を落としてムラの出やすい場所ですが,均一な光沢です。このワックスを剥離します。うっすらと残る場合があり,ほとんどの場所を,剥離+リンスを2セット行ないました。相手はハイテクフローリングコートではないかと思います。
溝はそれほど深くないし,ワックスも塗り重ねていないのですが,竹串で掘ると相当量のカスが出ます。引き渡しでは水をまかないと思いますので,ワックスを塗るときにどうしても建築時の埃が残ってしまうんでしょうね。
これが剥離終了後の床。玄関から入って右の部屋です。
ライトの写り込みで艶消し感が伝わると思います。巾木への養生が終わっています。
そして,コーティング終了時。玄関から撮っています。
こうして写真を並べてみると,なぜ同じ場所を撮らなかったのか,と思います。1日目にカメラが使えなかったこと,予想以上に手のかかった剥離,撮る時間帯を合わせられなかったことなどいろいろ関係しています。
Sさんには午後7時に来ていただきました。「わー!ピカピカ」。
養生を剥がし,4か所ほど補修してお引き渡しです。家具は仕事が休みの次の日にご主人と戻して下さるそうです。管理の良いS様邸なら,この光沢は10年持つのではと思います。今後のメンテナンスについても,責任を持って当たらせていただきます。
マンション1邸丸ごとガラスコーティング。ちょっと初期投資がかかりますが,長い目で見て費用を減らし,快適が長持ちします。でも,マンション購入時の40万とかするオプションに比べると,お安いのでは♪
S様,ご用命ありがとうございました。
2011年11月26日|コメント (0)|トラックバック (0)
カテゴリー:日記
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