中古住宅の入居前クリーニング
1月末に一度ご注文下さった建設会社から,急ぎで35坪の中古住宅のクリーニングをと依頼を受けました。先約のある期間でしたが,状況的に延期した方がいい仕上がりになるという判断もあり,先様のお許しを得て行って参りました。
ところが,7,8,11の日程のつもりが,10日入居と聞かされたのでパニック。状態もかなり悪いので2日では追いつけません。無理繰り9日午後から半日を追加していけるところまでと考えて始めました。
もうこの時点で,写真を撮る気持ちの余裕さえなくなりました。
ところがお昼を過ぎて施主がお茶の差し入れで来てくださり,お引っ越しは日曜日は日曜日でも17日ということです。助かりました。
状態が悪いというのは,とにかく汚かったのです。6年ほどとお聞きしていますが,南米の外国人家族がお住いだったようです。キッチンの油汚れが壁,窓,リビング側カウンターまで。キッチン棚内部もすべて汚してあります。しかも傷だらけ。洗面台周り,浴室はお掃除の気配なし。トイレはまあまあ。あらゆる壁面に鉛筆,ボールペン,マジックの落書き,化粧品,手あか汚れ。スイッチにはシール。極めつけは何度も塗られたワックス。往復塗りで,すべての返しにホコリの抱き込み。これは施工時の問題と思われる,天井回り縁や建具にクロス糊の変色。
施主の奥さまの話では,内見のときは居住中で間取りぐらいしか見られなかったとのこと。空室になって引き渡しを受けてあまりの汚れに「住めないかも」と思ったそうです。おっしゃる気持ち,よくわかります。
当店では通常,壁紙クロスは張替えを勧めている立場からメニューに入れておりません。ですが,お客様がどうしてもとおっしゃる場合は,ひどい部分を中心にある程度のクリーニングをいたします。今回はキッチンが主な部分ですが,すべての部屋に手を入れました。手あか程度ならほとんど落とせますが,インク系になると難しいです。
最近クロスに威力を発揮しているのがナオキンさんご推薦のこのスポンジ。スーパーで売っています。
片面が起毛で,片面がマイクロファイバー。手のひらサイズですが半分に畳んで使うこともできます。キッチンなどは油汚れ用の洗剤をこれで直接塗りながらブラッシングすると,かなり効率的に落とせます。
ついでにサッシの枠などもマイクロファイバー側でこすれば傷の心配がありません。
キッチンは二日目に入り,シンク磨きです。これは大体磨き終わったところと,拭きあげの写真です。こんな材料でやっています。使っているものは,シンク磨きとしては入門的な程度だと思います。
シンクが磨かれてくると真っ黒になってきます。特に天板などはネットスポンジで汚水をぬぐうためスポンジが酸化鉄で真っ黒になります。
「キッチンで真っ黒なスポンジを使っている」と驚かれるかも知れませんが,他の作業で汚れたものではなく酸化鉄の粉を含んでいるだけです。
弟の担当した浴室や洗面台は,キレイになりましたが,作業前の写真がありません。家の人が擦っていないため,かえってキレイに仕上がったと思います。
3日目にちょっと手を入れてみた和室の木部。
小さな床の間?ですが,日本人の感覚ではこういう風に汚れないと思います。敷居や引き戸の枠も手あかや落書き多数。
まだまだ洗剤の順番とかシミ抜きに勉強が必要です。ちなみにミヤキの洗剤は使っていません。
床は剥離も考えましたが,試したところ,見た目よりしっかり密着していて強力剥離剤でないと剥がせません。抱き込みは階段を含めてすべてのフロア材に及んでいるので,剥離で2日必要でしょう。予算も時間も足りないのでなんとか別の方法で見栄え良くしなければなりません。
3日目の最後は床でした。ほこりの抱き込みをすべて三枚刃を直角に立てて削りました。控え目にやっているとなかなか削れません。かなり力を入れて削り,往復させるとやっとなめらかな感触になります。きちんと台を使ってサンドペーパーなどでやってもよいかもしれませんね。
さらにお湯にカーペットシャンプーを希釈して撒き,シルバーコンポジットパッドでポリッシャーがけ。汚水バキューム。乾燥後ジムエース1回塗布。
剥離後のようにはいきませんでしたが,抱き込みの感じはほぼ解消しました。
「ワックスを何度も塗ってある床を剥離はしないでメンテナンスした」状態にはなりました。
前の方がお住いのときに内見するケースは多いようです。日本人の惻隠の情ともいうのでしょうか。あまり詳しく見たら失礼にあたるという気持ちが働くと思います。実際ハウスクリーニングの見積もり時にもその気持ちが働きます。
じろじろ見るような様子は見せずに,でもしっかり見る。ハウスクリーニングとは違い,住宅の購入の場合は大きなお金が関係していますから,しっかり見てください。
2011年4月12日|コメント (0)|トラックバック (0)
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